宗家継承式のあと

4月21日月曜朝の稽古。

 

昨日は福岡は大牟田市で、大石神影流第七代宗家継承式典がありました。私も参加させていただきました。その内容は、おっつけ掲示される貫汪館会報で確認してもらうことにして。ここでは、このビッグイベントに参加できたことによる有形無形の成果を、本日の稽古を通して再確認しましたので、整理しておきたいと思います。

 

平日の月曜の朝なのに、武道館に行って稽古できたこと。これも無形の成果です。なんちゃって。ただ単に、しんどいだろうからあらかじめ休みを取っていただけの話です。でも結局、暇になると稽古に行くしかないんですね。少し馬鹿じゃないかしらと思ってしまうということは、きっと馬鹿じゃありません。

 

広い武道場で一人で稽古します。気持ちがいい。

 

ここの所、慣例になっている大石神影流陽之裏から稽古開始です。

ここでの成果が直接的な成果です。なぜなら、私が演武したのはこの陽之裏ですから。ここのところ、一番熱心に稽古をしていました。

 

まず、半身と鼠蹊部の緩み。これが第一の成果。熱が入ると正対しがちになりますが、一人稽古では十分な半身を取ることができるようになった。

大石神影流は後足を90度横に開きます。というよりも、半身が英信流より少し深いので、後ろ足を自然に踏むと90度に開いているというのが正解です。

いわゆる撞木足。これで自由な進退ができるように稽古を積むのです。

 

第二の成果は手の内。小指と薬指に引っ掛けるようにして、構え、斬撃をする。構えの時も斬撃の時も、手の内は同じということ。これを手数の中で稽古できました。以前に比べれば、隔世の感があります。自分だけが思っていることかもしれませんけど。剣道の稽古の時、早く振ろう、当ててやろうと思って、手の内を締めこんでいました。はじかれると簡単に体が崩れるように感じていました。手の内を締めこんだことによって肩に力が入り、上体が浮き上がるので、簡単に崩れてしまったのでしょう。今ならもう少し楽に連続技が出せるかもしれません。

 

第三の成果は残心。残心をしっかり取るように指導されたことで、形全体で気を抜かないようになりました。心と体を切らさないこと。心を込めた稽古が出来るようになりました。残心は大切な教えです。

 

第四の成果は間合い。広い場所、狭い場所、いろんなところで形を行えるように歩幅、彼我の距離、踏込み、体のさばきを注意するようになりました。

 

第五の成果は呼吸。しっかり呼吸を意識して稽古を行えば、陽之裏を通しで稽古しただけで汗が噴き出てきます。もともと汗っかきですが、そればかりが原因とも思えません。きっと。

 

ここまでが、継承式に向けての稽古の中で得た成果ですね。

 

稽古以外では、まず何と言っても、大石先生(六代英一先生、七代馨先生)にお会いできたこと。そして、初代大石武楽先生、二代大石進先生のお墓参りができたこと。また、武楽先生も稽古されたであろう早馬神社を訪れたこと。この感動は、大石神影流を稽古してみないと分からないことでしょうね。いや稽古しているだけでは無理かな。貫汪館では昇段審査の際に、論文も書きます。かなりなボリュームの論文なので、相応の資料調査や、自分の考えを深めていく作業が求められます。この経験が今回のこの感動につながっているのでしょう。資料で読んだ、あるいは自分の頭で考えた諸々のことが、この人、この地から始まったのだという想い。それを伝えてこられた宗家の方々と師匠である館長。いや~。何というべきか。

今回の継承式に、貫汪館末席の私まで参加させて頂けたことに感謝感謝です。

 

そんなことを思いながら、昨晩は新大牟田からの新幹線でグレープフルーツチューハイを頂いておりました。やっぱり飲むんかい!という声が聞こえてきそうです。

でも、今回は寝過ごすこともなく、新大阪で横浜支部長、名古屋西支部長と再会を約することが出来ました。

 

今日の稽古は、これまでの緊張はなくなりましたが、思いを新たに集中できたと思います。

 

気が付くと、道場の端で私の稽古を正坐して見学されている方がいました。

私の稽古が珍しく、居合の稽古の手を止めて見ていられたようです。

遠く会釈をして、英信流の稽古に切り替え、大石神影流で得た成果をこちらでも発揮できるように注意深く取組みます。

 

最後は、やっぱり横雲と稲妻でお仕舞いです。

 

                         平成26年4月21日