力を抜く工夫

自分の身体の「りきみ」を感じるのは難しいことだと思います。

知らず知らずの内に、身体の癖が付いてしまって、その方が楽で自然な気がする。

だから力を抜けと言われても、自分は抜いた気になっている。でもどうやら抜けていないらしい。どこに力が入っているのやら。

私の場合もふと気付くと肩に力が入っています。ただ、カバンを肩にかけているだけなのに力が入る。それに気づく。慌てて力を抜く。そんなことの繰り返しです。

 

昔もやっぱり同じことを苦しんだ人がいたようです。

白井亨という幕末期の剣士です。有名な千葉周作の兄弟子にあたる人ですね。

この人の兄弟子でかつ師匠にあたる寺田宗有から「お前は力に頼るからいけない」と言われていたそうです。「支体健剛」と白井が言及するぐらい恵まれた体格だった寺田から、小柄な白井が、そんなことを言われてしまったのです。

白井の若い頃は、力任せに打合う稽古を行い、夜は重い木刀を千回も振るという修練を積んでいたと述懐していますので、癖で力を使うことが当たり前になっていたのでしょう。

で、白井はどうしたか。なんと自ら肩の骨を砕いたと言われています。怖ろしい。

なにか昔にはそんな施術法があったのでしょうか?よく分かりません。

白井は後に「おれの木剣からは輪が出るぞ」と言い、勝海舟から絶賛されるほどの剣士になります。でも輪が出るってどういうことでしょうね。一度剣を交えて体験したかった。

 

ともあれ、白井亨というそれなりに著名な剣士も、力を抜くことに苦心したようです。逆にいうと力を抜くことに成功すると、白井レベルの剣士になれるのかも…と思ってしまいます。彼の修行を調べてみると、とてもそればかりではなさそうですけど。

 

力を抜くのは、昔の剣士にしても大変なことだったのです。我々が悩むのも無理はない。そう思ってゆっくり取り組みましょう。でも漫然と稽古していても、気付きは生まれません。

稽古の中で、いろいろ試さねばなりません。姿勢を変えてみる。どこか他の一点に力を入れてみる。呼吸に意識を向けてみる。

工夫を続けましょう。