大石神影流剣術

大石神影流の特徴

大石神影流は江戸末期に一世を風靡した剣術流派です。大石神影流の開祖である大石進が江戸で他流の剣術家と多くの試合をし、華々しい成果を飾ったのです。並み居る強豪を

突きで破ったと言われています。その突きは、五尺三寸の竹刀から繰り出されました。今の剣道では、三尺九寸の竹刀を使います。一尺四寸も長い。40㎝以上長いのです。操るだけでも大変な力量だと思います。もっとも大石進は2mを超える身長だったとか。それでも腕力だけで操れるものではないでしょう。体の遣い方が優れていたのだと思います。

 

手数の特徴

大石神影流では、形(かた)と呼ばず、手数(てかず)と呼びます。たくさんの手数が残されています。でも、私はまだ全部を学んだわけではないので、学んだ部分のみの解説になります。

 

長木刀を使います。普通の木刀より15㎝ほど長い。大石神影流では、自分の胸の高さを基準にして得物を作っていたようです。ですので、木刀なら人それぞれ長さの異なる木刀を自作していたのかもしれません。

この長木刀を使って、手数の稽古を行います。一刀流のような鬼籠手をつけたりしないので、実際に打つのではなく、寸前で止めます。

 

手数稽古には、さまざまな目的があるのでしょうが、私が学習し、また指導する上で気付いたのは、刀を柔らかく遣う方法を学ぶことが目的の大きな一つではないかということです。

これは実際に稽古してもらわないと分かりませんが、相手の刀を請けて張るという動きを最初に学びます。初心の人はどうしても「請ける」ことが出来ません。はじいてしまう。

優しく請けとめ、呼吸に乗せて張る。これで体の遣い方、呼吸の仕方を教えたいのではないでしょうか。

結局、無理無駄な力を排し、楽に動くという貫汪館武術の根幹に関わっているのです。

 

手数が進むと、より実践的な技を学びます。シンプルな技が多いというのが私の率直な感想です。大石神影流は防具稽古で強さを発揮した剣術流派です。今の剣道のような動きではないと思いますが、それでも実際の打突ではシンプルな動きにならざるを得ないでしょう。竹刀での攻防は一瞬で決まったはずです。シンプルな動きをより研ぎ澄ますために、さまざまな体の遣い方を手数で学ぶ。そんな稽古体系ではなかったのかと感じています。

 

抜刀術よりとっつきやすく、動きも素朴。

しかも相手がいるので、集中しやすい。

皆さん真剣に取り組んでもらっています。