澁川一流柔術

澁川一流柔術の特徴

澁川一流柔術は、いわゆる柔道とは全く異なります。

高校生のとき体育の授業で一年間学んだだけなので柔道もよく分かっていない のですが、そもそも素手対素手の戦いを想定していません。

相手が懐剣や刀を持っていたり、こちらも棒を持ったりもします。

技は素朴なものばかりで、派手な動きがありません。地味ですね。

 

私は剣道から学びはじめ、居合に惹かれ、大石神影流剣術を学び、最後に柔術に至ったのですが、柔術が一番むずかしいですね。

シンプルな動きなのですが、技の数が多くて、相手の突きを右手で抑えたり左手で柔らかく執ったり、相手の左側に動いたり右に進んだり、手を絡めたり手刀を遣ったり、とにかく体の遣い方が多様で覚えるのが大変。

でも、基本となる体の遣い方は、居合や剣術と同じ。

力は使わず、静かに動きます。

刀を遣う手の内が柔術でも極めて重要であったりして、武道としての共通点に驚きます。

 

技の数は400種類ほどありますが、基本となる履形三十五本を修めれば、あとはその応用という建付けで形が編まれています。

澁川流、難波一甫流、浅山一伝流の三流を修めた流祖が創始された柔術ですが、非常に上手に体系化されており、すごく頭のよい人だったのだろうなあと想像しています。

 

上述の文章を書いたのはいつだったのか思い出せませんが、4年ほど前だったと思います。

その後、ワタクシも稽古が進み、最初の履形からはじまり、吉掛二十五本、込入三十四本、打込二十三本、両懐剣四本、互棒七本、四留十四本、拳匪七本、枠型九本、引違四本、袖捕二本、二重突十四本 を学びました。

また演武のために上記以外の技も学んでいます。

ここまで学んで言えるのは、「柔術はたのしい!」ですね。

基本となる履形が、本当に多くの発展を遂げています。

もちろん履形にない技も後から出てきましたが、どれもチカラ任せの技ではなく、シンプルでかつ柔らかい。

チカラを用いるとかえって技にならなくて、相手と調和をしながら崩して投げて極める。

なんと楽しいことでしょう!

居合、剣術が大好きなワタクシがこんなに柔術にハマるとは思っていませんでした。

さらに稽古を積んで、さまざまな技を学びたいと思います。

 

柔術は技を学ぶことで、柔術に必要な体遣い、ひいては心の在り方をも学ぶことができると思います。柔らかい心になるのです。逆に言うと、柔らかな心を持てない人は、いくら柔術を学んでも、柔術を修行したと言えないのではないかと愚考します。

                          2023年11月28日追記