柔術講習会

 7月1日から2日にかけて、広島本部にて開催された渋川一流柔術の講習会に参加しました。蒸し暑い天気ではありましたが、怪我なく集中して講習を受けることができました。森本先生をはじめ、関係の皆さま、本当にありがとうございました。

 

 さて、事前告知では、履形、四留、二重突、一重突、片胸側、壁沿、裏襟、半棒、六尺棒等々、様々な形を二日間で稽古するとのこと。私としては全くのチャレンジでしたが、求められる身体の遣い方を少しでも体感することができたら、という思いで参加しました。

 貫汪館HPの記事によると、渋川一流柔術の形は相手の仕掛けの方法によってグループ分けされており、初めに習う履形の三十五本の形が全ての形の基本となっている、とあります。また、澁川一流柔術では相手に対処するにあたり、一つは、相手がまだ攻撃を起こす前に抑える、おこりを抑える方法と、もう一つは相手の攻撃を斜めに入りながら相手の動きをこちらに取り込んで技をかける方法があるとされています。

 今回の講習会では、例えば中段を突かれる、両手首を握られ押される、胸襟を掴まれ押される、前帯を掴まれ押される、後ろから襟を掴まれる、などの状況で素手で相手を制する技(刃物を持った相手に対する動きを稽古するための基礎という前提とのこと)、棒で刀に対応する技などを稽古しました。

 

 素手で相手を制するに際し、此方が相手を力づくで動かそうとすれば、言うまでもなくパワーや体格次第で勝敗が決まってしまいます。高い位置を掴まれて押された時に(重心を上げて)相手の腕を取りにいく、前帯のような低い位置を掴まれた状態から相手の手首を返す時に(重心を上げて)腕を返そうとする、こうした何気ない力に頼った動きの誤りを指摘いただき、一つひとつ動きを確認していくという繰り返しで、稽古で指導をいただける有り難さを実感した二日間でした。

 相手の重心を崩し、泳がせ、渦に巻き込むように押さえたり、極めたりしていく、そういう心身の技術が、実は、これまで居合や剣術の稽古で特に指摘いただいてきた「肚を中心にした無理無駄のない動き」そのものであり、柔術の稽古で如実に求められるものであること、この経験が居合や剣術を稽古するうえでも大きな糧になることが、先生方のご指導のお蔭で私なりに感じることができたように思います。

 また、私は今まで、「相手の攻撃を受けて、仕掛けて、押さえて、極める」という一連の流れを想定した時、「受けて、仕掛けて」というところは無駄のない自然な素早い動きで相手を動かし、「押さえて、極める」時に、急所を攻めることで相手を降参させるのかなと、漠然と想像していました。しかし、どうやら攻撃を受けて仕掛ける段階で既に相手の急所を押さえる動きになっており、相手が極められて従わざるを得ない状況に巻き込みつつ、押さえや極めに持ち込んでいくということのようです(心得違いをしているかもしれませんが)。指導を受けながら、何ともうまくできていることだなと感心することしきりでした。

 

 何れに致しましても、とても貴重な経験をさせていただきました。森本先生、会場の確保や講習会の運営に当たられた方々をはじめ、全ての皆さまに改めて感謝を申し上げ、筆を置くことと致します。

 

(文責:M)