居合は右手を刀の柄に掛け、左手を鞘の鯉口あたりに掛けます。だから右手で抜いているように見えますが、実際は左手の動きが重要です。左右の手を連携させつつ自由に動かすには体の軸がしっかりしていなければならないようです。
体軸を意識すれば、肩も下がってくるように感じています。肩が下がると両手の動きがより自由になるようです。
力を抜くように意識しますが、肩の力を抜くのは特に難しい。現代人はとくに寝ている間も肩の力が抜けないという記事も読んだことがあります。
以前にも紹介しましたが、幕末の剣士の白井亨は若いころからの力任せの剣術の癖がなおらず、肩をわざと挫いたそうです。そのような技術があったのかもしれませんが、この話も要するに肩の力を抜く難しさを語っているように思います。
こういう場合、工夫として体の中心を伸ばすようにすれば、肩が自然に下がってくるようです。頭頂で天を衝く感覚です。
兄弟子にも肩を落とせと指導されたことがありますが、「肩を落とす=背筋を楽に伸ばす」であるように感じました。
もともと猫背の私には、背筋を伸ばすのがかなり大変なのですが、楽に背筋を伸ばせて、かつ肩の落ちるポイントを探しています。
稽古の中で、背筋をゆったり伸ばすことに成功したときには、体軸というものを感じますし、左右の手の動きも軽く感じます。抜刀も納刀も手が勝手に動いてやっているのを、中心にいる自分が見ているように錯覚してしまいます。勝手に動いている感覚。
後から振り返ると、なかなかうまく出来たのではと思うのですが、再現できません。
うまくいかないものです。
楽に背筋を伸ばすためには、姿勢の改善が必要で、具体的には筋肉の張りや凝りをとらないといけません。加えて体軸を意識することが大切です。
意識をしていれば、少しずつ体軸がクリアになってくるように感じています。
ただし軸には、頭頂の反対側にある丹田への意識も大切。
頭頂で天を衝き、丹田で背骨をゆったり楽にする。
自分の内部感覚を言葉にするとそんなイメージになります。
注意深くこの感覚を確認しながら稽古に取り組もうと考えています。