真似することの難しさ

稽古では私がお手本になります。

出来るだけゆっくりと技を遣います。しっかり見てもらえるように。

ですが、私の真似をしてくれているはずなのに、どうにも動きが違うように思える。

そんな動きをしていたかなあと内心首をかしげることもありますし、私より上手!と思わず手を叩きたくなることもあります。

 

そこでわが身を省みる。

私も師匠の動きを見て稽古をしている訳です。真似をしている訳ですが、自分でも上手に真似できていないと思うところがある。というか、そういうところばかり目に付く。

師匠はどのような目で私を見ているのであろうかと怖ろしいやら申し訳ないやら。

 

指導の際に、どうして私のやるとおりに出来ないのであろう?と考えて自分の動きをチェックします。違いを発見する。自分の動きを解説する。でもそれは自分の身体感覚を言語化しているので、相手には伝わらないことのほうが多い。

結局、各人それぞれ固有の体を持っていて、関節の柔らかな人、力の強い人、真似しようともしない人、速さを求める人、気の弱い人、背の高い人、低い人など、多くの特殊な条件が重なる。

当たり前の話ですが、皆が同じ動きができる訳ではありません。

だから、大事なキモだけは押さえて、あとは各人の体と相談して技を作り上げることになる。

でも、やはり真似しようとする取り組みは大切です。どこに大事なキモがあるのか分からないから。流派としての理合を見落とす可能性があるから。

何とか努力して、真似をしてもらいたいと思う次第です。

 

と言いながら、実は私も日々変化をしています。

指導は鏡。教えているつもりで教えられていることが多く、ちょうどインプットとアウトプットの関係です。「他人の振り見て我が振りなおせ」とはよく言ったもので、私の動き(インプット)を見て、真似をしてくれている動き(アウトプット)を確認し、インプットを修正する。いわゆるフィードバックによる改善も行っています。

お手本もバージョンアップすることを頭に入れて、稽古してください。