貫汪館では、「無雙神傳英信流抜刀兵法」「大石神影流剱術」「澁川一流柔術」

を伝えています。

まったく生まれの異なる武術ですが、共通していることは「臍下丹田から動く」「無理無駄な動きを排す」ということです。

ですので、どなたでも根気さえあれば稽古できます。

年配の方や女性でも稽古できます。

むしろ余計な力がない分、上達が早いかもしれません。

また、初心の方のほうが、動きに癖がないので、習得が容易でしょう。

 

普段の稽古では三つの武道を学んでいるので、ゆっくり取り組むことになります。

よく「剣術だけ」とか「柔術を」とか、ご希望を聞きますが、貫汪館では三流派すべてを学んでもらいます。

支部長である私は、居合から学び、次いで剣術を教えて頂き、最後に柔術に取り組むことになりました。

振り返ってみると、三流派を同時に学んでいれば、もっと体の遣い方に関して理解が進み、上達も速かっただろうなあと思います。

 

居合の稽古は最初は一人で行いますので、悪くすると一人よがりになりがち。

それを剣術の稽古で正すことができます。一人でならできていたことでも、相手を前にした途端に、おかしな動きになってしまう。それを剣術で矯正できるのです。

また居合は基本的に守りの武道です。相手の攻撃への対応という意味では、澁川一流などの古流柔術と同じです。

対して剣術は、五分と五分の立会から始まります。相手とのつながりをより強く学ぶことができるのです。これが居合にも生きてきます。

 

柔術を学ぶ利点は、チカラを感じることができることです。

居合も剣術も、相手との接触は刀を通してになりますが、柔術は直接相手に触れて、互いのチカラを感じることができます。無用なチカラや無理なチカラでは相手を崩すことができません。流派の動きに則って、無理無駄なチカラを使わずに動くこと。

自分ではチカラを使っていないつもりでも、柔術を遣うと如何にチカラを使っていたのかが分かってしまう。また相手のチカラの動きも分かる。

この学びが私にとって衝撃的でした。

柔術を学んでから、私の居合と剣術が大きく変わりました。

 

今では三流派の武道が一体となっています。それぞれが補完しあって、それぞれが上達の切っ掛けになっている。

師匠によく話をしてもらうのですが、江戸時代の武士は、剣術だけを学んだのではなく、柔術や馬術、弓術など多くの武道を同時に学んでいたのです。

現代人の我々に多くの武道を学ぶ時間はありませんが、貫汪館では少なくとも三つの武道を同時に学べる。これは非常に恵まれた環境であると考えています。